2024年度 

ひとづくりこそまちづくり

~自由と責任を体現する先にある未来への歩み~

一般社団法人駒ヶ根青年会議所

第59代理事長  宮脇 達樹 

【基本方針】
~はじめに~
青年会議所は、戦後の焼け野原広がる 72 年前、新日本の再建は青年の仕事であると記した設立趣意書のもと歩みを始めた。
以降、我々駒ヶ根青年会議所を含む各地域において、その志に賛同する青年が集い、自らが住み暮らす地域を明るい豊かなまちへと築き上げるという理想を掲げ、社会課題への取り組み、社会貢献を通じた自己研鑽の機会を重ね今存在している。72 年間に及ぶ青年たちの歩んできた姿に敬意を表するとともに、当時掲げた理想の社会は十分に果たされたのではないかと受け止めている。
しかし、この先の未来を想像した時、人々から出る言葉にどれだけの期待感があるのか。
視点を変えれば、先々を不安視する情報や声ばかりを取り上げ、自らの意思により判断し主張すること、効果的な利他主義の下に行動することが乏しくなっているのではないか。
不確かで不安な声に流されて、理想を語ることを止めてしまえば、現実から目を背ければ、今よりも良くなることは成しえない。
これは現代の青年である我々も例外ではなく、故きを温ねて新しきを知るという言葉を真摯に受け止めるべきである。
なぜ青年会議所は 40 歳までの年齢制限を設けているのか。
青年経済人と言われる我々に求められ、期待されていることは何なのか。複雑な現代における豊かさとは何なのか。
これらの正解は一つではないかもしれない。ただ、時代が変わろうとも利他を重んじるという不変的価値観のもとに未来へと歩み続けること。その先導者として我々が立ち振る舞う先に、必ずや持続可能な伊南地域が存在することを確信している。

【事業方針】
~セルフブランディングによる魅力ある人財が集う組織へ~
いつの時代にも人々を先導するリーダーがいる。しかし多様性という言葉が飛び交う現代において、その思想や形は多種にわたり正解を求めることは難しい。但し、どんなリーダーであれ、周囲からの共感を得られること、人々を惹きつける魅力を持つ人財であることに疑いはない。我々が青年会議所へ身を置くことへの決断とは、その資質を持っている証であることを自負する一方で、今の姿を謙虚に捉え磨く必要がある。それは他人からの見た目を気にするがための繕いではなく、自らをどのように魅せるのかという自己価値の向上にある。
今はまだ不完全である自分自身に問いかけてもらいたい、今のままでいいのかと。より良くなりたいと願うならば、青年会議所にはリーダーとしての発展と成長の機会が無限に存在している。誰かが変えてくれるのではない、自らの意志でチャレンジしよう。それはこの先、互いに高め合うリーダーの集合体という組織価値の向上へとつながる。

~多様性の尊重と主体性を育む機会を創出する~
少子高齢化という社会課題から未来を不安視する言葉を日常的に耳にしているであろう。しかし、時代は止まることなく時を刻み、今この瞬間も個性ある子供たちが成長を遂げようとしている。子供たちの成長の過程と密接な関係にある学校教育については 2020 年の学習指導要領改定および実施がありながら、実態としては義務教育上の概念により十分に成長の機会が行き届いているとは言い難い。それは同時に多様性を尊重しようとする時代の流れにも対応できていないことを意味している。明るい未来を見据えた時、多様性ある人財への希少な体験の機会を創出することは、この地域にとってリターンの確約された大きな投資になると言える。そして、リーダーシップを育んでいる我々だからこそ提供できる人づくりの機会があると考える。
「出る杭は打たれる」この日本文化を象徴する言葉に我々がどれだけ抗うことができるのか。
心配ではなく信じてみる、次世代の地域を担う人財へ、理想の未来を描かせよう。

~地域社会における教育力の向上を推進する~
子供たちが生きる力を育むためには、学校での計画的な教育や協調性を養う一方で、家庭や地域での教育といった場面に成長の機会があることを今一度認識しなければならない。
私自身、幼少期を振り返ると地域の大人に多くのことを学び経験させてもらい、今の人格を形成しているといっても過言ではない。それは時に厳しく、時にやさしく。思い返せば教育のプロではない、他人である大人が支え育ててくれたことに、今改めて感謝をしている。しかし、近年の時代の変化は人とのふれあい、交流の機会を著しく低下させ、我が子以外に手を差し伸べ育むといった責任を伴う行動をとれる大人が減少していることは明らかである。ただでさえ学校教育におけるキャパシティの限界から部活動の地域委託が目前に迫る中で、私たちは地域で子供たちの健やかなる成長の機会を提供することができるのであろうか。誰かが一方的な負担を強いられ、無責任に預け頼る時代は過去のものである。地域の大人が未来を見据え、持続可能地域の根源となる子育てにおいて考え学ぶ機会を創出
することで、より良い伊南地域は継承される。

~我々がつなぐ地域~
駒ヶ根青年会議所における運動は、自らを成長させる自己啓発、より良い地域を目指すまちづくり運動、未来の宝である子供たちの健やかなる成長を推進する青少年育成。その他多くの機会とともに歩み続けてきた。我々のつくりだす機会がいつか誰かの豊かさにつながり、蓄積されると豊かなまちとなる。今すぐ自らに多大なる恩恵を預かるわけではないが、自己犠牲ではない利他主義という価値をもち邁進することに地域からの信頼と共に行動したいという共感を得られると信じている。限られた時間の中で完璧を実現することは難しい。但し、常に地域と人を想いチャレンジをするその姿や志は必ずや人を動かし、人をつなぎ、明るい豊かなまちづくりへの輪を広げることになる。
「共に歩もう我々と、より良い自分と地域を求めて」

~おわりに~
駒ヶ根青年会議所への入会以降、本当に多くの出会いと機会に触れ今に至るが、その中でも私なりにこの組織の存在する意味を模索し続けてきた。青年とは不完全な状態であると思う。だから自由というチャレンジの機会が与えられ、思案し行動を起こそうとする。但し、そのチャレンジには責任が伴っていることも忘れてはならない。JC だからできること、それは自由と責任の両輪による ひとづくり であると定義する。
自由とは責任を伴う、だからこそたいていの人は自由を恐れる。
我々は恐れない、なぜなら一人でチャレンジしているわけではないから。
そして全うする。自らが決めたこと、同じ志をもつメンバーが決断をしたことに。
立ち止まっている場合ではない、時間は有限、可能性は無限だから。